くらし もっと自分らしく YLIY magazine by TRUST DESIGN

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「食べる」と「くらす」

イリーマガジン 第一回トップ画像
安田美沙子・にしぶち飯店 西淵健太郎・ハイトラスト 坂口祐司安田美沙子
 ・にしぶち飯店 西淵健太郎・ハイトラスト 坂口祐司

稀代の料理人にキッチンを問う

小糠雨降る春の京都。東大路通りから八坂神社を左手に眺め、いけずな傘に佳景を妨げられながら路地に迷い込めば上弁天町。ここの町家に全国の食通が惚れ込む中華料理店、にしぶち飯店はあります。トラストデザインを主宰する株式会社ハイトラストの代表取締役、坂口祐司と幅広いジャンルで活躍を続ける安田美沙子が京都の著名人とともに『理想の家』を考えるイリーマガジン。その幕開けに迎えるゲストは京都屈指の料理人、西淵健太郎さん。本対談のエンディングでは、三人が繰り広げる会話をベースにイリーマガジン限定公開の建築パースを描き下ろし! 読者のみなさまに、理想のキッチンのヴィジュアルを披露しますので、ご期待ください。

目からウロコな台所バナシ

坂口が好んで口にする、とある英文の頭文字を並べたものを媒体名としたイリーマガジン。緊急事態宣言の再々発令前に行った今回の対談は『お客様の人生の主役はお客様しかいない』(再び意訳をしておりますが、詳しい内容は前号をチェックしてみてください)という、トラストデザインの基本的な考え方を、写真と建築パースと文章でたっぷりとお伝えできる、京都らしからぬ濃口のものとなりました。坪庭を擁す町家の風情を愉しみながら、予約のとれない中華料理店のカウンターで繰り広げられる、同世代の3人によるキッチンにまつわる話のあれこれ。いつか『京都に家を建てたい』方々にお届けしたく思います。

にしぶち飯店西淵健太郎の画像
にしぶち飯店で西淵と語る坂口と安田美沙子の画像

食は毎日のイベントなり

坂口—ウェブマガジンを制作しようと決めたときから、最初のゲストは西淵さんしかいないと勝手に決めていたんですよ

西淵—それは光栄です。どうぞ、お手柔らかによろしくお願いします(笑)

坂口—では、単刀直入に、ご自宅のキッチンになにを求めますか?

西淵—デザインや使い勝手も大事だとは思いますが、キッチンとは育てていくものだと思っています。自分自身も含め、家族の成長とともにキッチンに求めることも変わってきます。『食』という日々、家庭で開催される小さなイベントをずっと支えてくれるキッチンは、暮らしをともにするみんなで作っていくものなのかも知れません

西淵健太郎さんは、京都ブライトンホテルの中華料理店『花閒』を経て、割烹の名店『祇園 さゝ木』にて修行を積まれた後、29歳のときに『にしぶち飯店』をオープン。いまや京都を代表する料理人となった氏と坂口は、共通の知人を介し5年前に出会いました。歳が近いこともあり異業種ながら刺激し合う間柄だとか。

にしぶち飯店で語る坂口と安田美沙子の画像

ワッフル編みのコットンニットに程よくタイトな5ポケットパンツ……。上質な素材感でオールブラックのカジュアルスタイルをシックに昇華させた坂口と、ネックとボトムにドットのシースルーがあしらわれたワンピースにパールのジュエリーを添えて……。色数を極限まで抑えることでエレガンスを表現した安田。イリーマガジンは『理想の家での素敵な暮らし』を提案する、建築設計・デザイン・施工会社によるスペシャルコンテンツなのですが、感じていただきたいのは、きっと『家づくり』にも通じるヴィジュアルやディテールの作り込み。本日は、極上のモダン中華に舌鼓を打つ『洒落込んだ2人』という架空のストーリーを描き、『にしぶち飯店』の暖簾をくぐりました。さて、料理人に自宅のキッチンを問うとは、レーシングドライバーに自家用車を問うが如くの愚問か否か。答えは分かりかねますが、好奇心に満ちた問いかけはまだまだ続きます。

ワッフル編みのコットンニットに程よくタイトな5ポケットパンツ……。上質な素材感でオールブラックのカジュアルスタイルをシックに昇華させた坂口と、ネックとボトムにドットのシースルーがあしらわれたワンピースにパールのジュエリーを添えて……。色数を極限まで抑えることでエレガンスを表現した安田。イリーマガジンは『理想の家での素敵な暮らし』を提案する、建築設計・デザイン・施工会社によるスペシャルコンテンツなのですが、感じていただきたいのは、きっと『家づくり』にも通じるヴィジュアルやディテールの作り込み。本日は、極上のモダン中華に舌鼓を打つ『洒落込んだ2人』という架空のストーリーを描き、『にしぶち飯店』の暖簾をくぐりました。さて、料理人に自宅のキッチンを問うとは、レーシングドライバーに自家用車を問うが如くの愚問か否か。答えは分かりかねますが、好奇心に満ちた問いかけはまだまだ続きます。

笑顔で語る安田美沙子の画像

お母さんの味は無敵説

安田—ご自宅ではお料理をされるんですか?

西淵—しないんですよ。店の味と家庭の味ってまったく違って、お母さんの味にはどうしても敵わない気がして

坂口—なにが違うんですか?

西淵—例えば、今日、あの子は運動会で頑張ったからハンバーグにしようとか、あの子は風邪気味だからお粥にしようとか、わたしには絶対に作れない料理があるんです。苦手な野菜をたくさん食べて欲しいから細かく切り刻むとか、味覚を超える想いがあって、家ではお母さんの料理が無敵だと思っています

坂口—めちゃくちゃ素敵なお父さんですね。そんな風に言っていただけたらお母さん冥利に尽きますよ

育てるキッチンの真意

坂口—ちなみに、プロから見て、一般家庭のシステムキッチンってよくできているものなんですか?

西淵—はい。感心するくらいよくできていますし、見ているだけでテンションが上がります。ただ、それ自体は完成形ではなく、生活をしながら完成させていくものだと思いますね

安田—育てていくとはそういう意味なんですね。わたしの母は、東京に遊びに来ると、完成させつつあるキッチンのレイアウトをちょこっといじって帰っていくんです(笑)

坂口—レイアウトは完璧に覚えているんですか?

安田—それは覚えていますよ。調味料の位置が変わっているだけでアレ? っとなっちゃいます

にしぶち飯店で語る坂口と安田美沙子の画像

少数精鋭の調味料とは

坂口—安田さんは、調味料を見せる派ですか、隠す派ですか?

安田—んー、半々ですね

坂口—半々とは(笑)

安田—出しすぎず、片づけすぎずがわたしの流儀で、頻繁に使うものとたまに使うものを見定めて、整理をしています。ただ、海外のデザインが可愛いスパイスなんかは、使わないのにあからさまに見えるところに置いちゃったりして(笑)

西淵—そうやって、キッチンをテンションの上がる環境に変えていくことは大切だと思いますよ

坂口—西淵さんにとって必須の調味料はなんですか?

西淵—塩、薄口醤油、みりん、砂糖。これだけでだいたいのものは作れてしまいます

安田—すごいっ! まさにシンプルの極み。熟練の技ですね。わたしは料理関係のお仕事もさせていただいており、手前味噌ながらちょっとは料理に自信があるんですが、調味料はどうしても足し算しがち(笑)

坂口—伝統的な日本料理の味はハードルが高いとして、家庭で料理をされるみなさまにお教えできる、簡単な料理のコツってありますか? 

にしぶち飯店の店前で西淵と語る坂口と安田美沙子の画像

調理欲がアガる場所

西淵—少しばかり手間はかかってしまいますが、是非とも、キッチンで出汁をとっていただきたいですね。お休みされる前に昆布を水に浸けておくだけで、翌朝のお味噌汁がびっくりするほど美味しくなりますよ

坂口—家を建てられたり、リフォームされた際に、料理にひと手間かけたくなるようなキッチンをご提案するのも我々の仕事だと思っています。西淵さんの言葉をお借りしますが、テンションの上がるキッチンって、一回一回の食事の質を確実に高めてくれると思うんです

安田—そうですね。美味しいものを作りたいと思える場所があれば、家族のためにもっともっと頑張れそう

坂口—台所の流しに好みはありますか? ステンレスや人造人工大理石、ホーローなどが主な素材となります

西淵—わたしはステンレスの一択ですね。耐熱性、耐久性、耐摩耗性が高く、手入れがしやすいのがなによりのメリットだと思います。シンクの定番素材でありますし、もちろん、店の厨房もステンレス製です

坂口—表面に凹凸をつけたエンボス加工のステンレスは、キズが目立ちにくく見た目にも高級感があってオススメです

安田—クラシックな雰囲気が好きで、大理石にも憧れますが、ステンレスの加工技術により実用性と美観が両立されているのはポイントが高いですね

家族を繋ぐ愛ランド

安田—小さい子供をもつ母親としての意見なんですが、キッチンと家族の距離感ってものすごく大事だと思うんです。独立型がよいか? オープン型がよいか? と聞かれたらわたしは迷うことなくオープン型。ダイニングとの間に壁を設けず、キッチンからコミュニケーションがとれるようにしたいんです

坂口—シンクやワークトップをダイニングに向けて設置するアイランド型にすれば、くつろいでいる家族と対面できますので、安田さんの望みは叶えられますね

西淵—キッチンとダイニングが連結していれば、子どもが大きくなっても『食』というイベントを通して空間をシェアできますよね

カウンター越しに真剣に話す西淵の画像
にしぶち飯店で話す安田美沙子の画像

坂口—西淵さん、安田さんの意見を受けてご案内したいのが、ダイニング一体型キッチンです。キッチンカウンターにダイニングテーブルをピッタリとくっつけたスタイルは、配膳や後片付けをスムーズにし、楽々と家事を行わせてくれるんです

西淵—実践的なアイデアですね。この効率のよい動線には、料理人としても太鼓判を押せそうです。あと、わがままを言いますが、隅っこの方で構いませんのでワインセラーを設置したいです……

安田—ダイニングとの一体型のキッチンはリラックスできる場所でもあると思いますので、お仕事の疲れはここで癒しましょう。おつまみはいかがいたしましょうか(笑)

理想像は建築パースにて

坂口—今回はゲストに料理人である西淵さんを招き、キッチンを中心にお話を伺いましたが、家を建てたり、リフォームする上では、面積が広いがゆえに印象を左右する床や壁も悩みどころとなります。お二人になにか理想はありますか?

安田—わたしは、ほっこりとした気分で『おうち時間』を過ごしたいので、ナチュラルなウッド調が好みです

西淵—わたしは、自然が生み出した素材を感じたいので、床には無垢のフローリングを選びたいですね

坂口—内装からレイアウト、設備までこの対談が導き出す具体像が見えてきましたので、早速、パースの作成に入ります。本日は、貴重なお話を聞かせてくださり、誠にありがとうございました

YLIY style from vol.01

イリーマガジン パース画像(『コミュニケーション上手な家族の暮らし』を叶えてくれるキッチン)

今回西淵氏との対談で描き出したのは、
『コミュニケーション上手な家族の暮らし』を叶えてくれるキッチン。

『京都に家を建てたい』人たちと、その夢を叶えるトラストグループとのご相談やお打ち合わせも、上にまとめたインタビューと同じように、徹底的に会話を重視して進められます。お客様の希望や要望をゆっくりとじっくりと伺いつつ、要所要所で的確なアドバイスとご提案。何気ない雑談の中にも、我々、トラストグループは『家づくり』のヒントを探します。そのすべての情報を集約した上でご覧いただくのがこのようなパース。建築物を立体的にヴィジュアル化することで、『京都に立てる家』の完成の状態をクリアに把握いただきます。今回、料理人の西淵さんとともに描き出したオリジナルデザインの台所は、贅沢にも、イリーマガジンがこのコンテンツのためだけに用意したもの。キッチンカウンターとダイニングテーブルがフラットに繋がった一体型のスタイル。濃口のインタビューで交わした幾多もの言葉が、『コミュニケーション上手な家族の暮らし』を叶えてくれる空間を生み出しました。

イリーマガジン パース画像(キッチンを中心にべしゃり三昧)

キッチンを中心に
べしゃり三昧

家族との距離感、とりわけお子さまとの距離感を考えてアイランド型のオープンキッチンを採用。壁のない開放的な設計であれば、調理の最中も目を配りながらコミュニケーションが図れます。眠る前には出汁の仕込みをお忘れなく。

イリーマガジン パース画像(衝撃や摩耗に強く衛生面もバッチリ)

衝撃や摩耗に強く
衛生面もバッチリ

無垢のフローリングに映える都会的なメタリックのキッチンは、コンロとシンクを備えているので、リビングを常に対面で見渡せます。最新の加工技術が用いられたステンレスのシンクやワークトップは手入れのしやすさがメリット。

イリーマガジン パース画像(葡萄色の癒しを壁際の片隅に)

葡萄色の癒しを
壁際の片隅に

お母さんの味無敵説を唱え、キッチン考察にも家族関係に重きを置いて発言されていた西淵さんが、唯一、己のために望まれたのがワインセラー。ゼロから作り上げる自由設計の家ならば、こんなにもスッキリと男の浪漫が収まります。

独学で古典に親しんだという英国の詩人、ホープは『わたしたちが航海をしている人生という名の大海では、理性は羅針盤、情熱は疾風である』という美しい作品を残しています。『家づくり』が人生の一部であるならば、そこには、やはり方向を決める力とその方向へ向かう力が必要となります。建築コンシェルジュを標榜するトラストグループは、お客様の道標となり、お客様を後押しする存在となれるよう、コミュニケーションファーストですべて案件に対応します。

衣装協力
ririchuchu   capito  ELVIO ZANON
ririchuchu   capito
ELVIO ZANON