ひといきついてもいいんじゃない?
京都市は総務省調べで珈琲の消費量日本一!
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが演じる、余命宣告をされた初老二人が、生涯最後の大冒険に繰り出す大ヒットムービー、『最高の人生の見つけ方』然り、お店の中のとある席に座ると、望んだ時間に舞い戻るファンタジー映画、『コーヒーが冷めないうちに』然り、説明は割愛しますが、『ティファニーで朝食を』、『かもめ食堂』然り、コーヒーが効果的な小道具として登場する映像作品に、ハートフルに人間模様を描き出すものが多いのは、きっと、この『不思議な飲み物』が洋の東西を問わず、長い間、人と人とを繋ぎ合わせてきたから……。香り高きシネマの話はさておき、『あなたの理想の暮らしを叶える』をモットーとする、住宅設計・デザイン・施工会社、トラストデザインの代表取締役、坂口祐司&はんなりな語り口で人気の安田美沙子がお届けする、イリーマガジンの対談企画の記念すべき10人目のゲストは、『コーヒーは最強のコミュニケーションツール』を唱える、『トラベリングコーヒー』代表の牧野広志さん。本日は、京都のコーヒー文化に精通する賢人とともに、『住まいと暮らし』の中のカフェ空間を考えます。
京都市は総務省調べで
珈琲の消費量日本一!
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが演じる、余命宣告をされた初老二人が、生涯最後の大冒険に繰り出す大ヒットムービー、『最高の人生の見つけ方』然り、お店の中のとある席に座ると、望んだ時間に舞い戻るファンタジー映画、『コーヒーが冷めないうちに』然り、説明は割愛しますが、『ティファニーで朝食を』、『かもめ食堂』然り、コーヒーが効果的な小道具として登場する映像作品に、ハートフルに人間模様を描き出すものが多いのは、きっと、この『不思議な飲み物』が洋の東西を問わず、長い間、人と人とを繋ぎ合わせてきたから……。香り高きシネマの話はさておき、『あなたの理想の暮らしを叶える』をモットーとする、住宅設計・デザイン・施工会社、トラストデザインの代表取締役、坂口祐司&はんなりな語り口で人気の安田美沙子がお届けする、イリーマガジンの対談企画の記念すべき10人目のゲストは、『コーヒーは最強のコミュニケーションツール』を唱える、『トラベリングコーヒー』代表の牧野広志さん。本日は、京都のコーヒー文化に精通する賢人とともに、『住まいと暮らし』の中のカフェ空間を考えます。
木屋町は最先端の
カルチャー発信地
坂口—早速ですが、この媒体は京都をテーマにしたマンスリーウェブマガジンで、歴史と文化に育まれたモノとコトに溢れるこの街を、プロジェクトのイメージキャラクターである安田美沙子さんとともに語ろうというコンセプトでお送りしています。本日、お邪魔をしております『立誠ガーデン ヒューリック京都』さんは、木屋町通り沿いの近代建築を保全、再生したサステナブルなホテル、商業施設ということで、不動産業界、建築業界一筋のわたしはご案内いただけるのを楽しみにしておりました。牧野さん、本日はどうぞよろしくお願いします
牧野—こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。元・立誠小学校をリノベーションした『立誠ガーデン ヒューリック京都』は2020年の7月にオープンをしました。それまでも、『トラベリングコーヒー』は小学校の旧職員室を改装して営業をしていましたので、この場所との付き合いは長いんですよ
人とコーヒーのマッチングの祭典
安田—わたしも本日は美味しいコーヒーが飲めそうな気がして、朝からワクワクしていました。木屋町は、坂口さんの仰るように、『歴史と文化に育まれた』街そのものだと思いますし、学生時代までを京都で過ごしましたが、木屋町は最先端のカルチャースポットというイメージもあります
坂口—わたしが牧野さんのお名前を知るきっかけとなったのが、『エンジョイコーヒータイム』という京都のビッグイベントなんですが、牧野さんはその企画運営のキーパーソンでもあり、まさしく京都のカルチャーを最前線から牽引されているんです
坂口も驚いたズバ抜けた数字
安田—牧野さん、『エンジョイコーヒータイム』とは、どのようなイベントかお教えいただけますか?
牧野—はい。2016年の5月の初開催から好評をいただいているイベントなんですが、『コーヒーを通して人やお店が繋がり、コーヒーが文化として地域に根ざす』ことを願ってディレクションをしています。京都の人気コーヒー店が一堂に会するこのイベントでは、コーヒー飲み比べチケット(5枚綴り)などを販売しているので、会場をまわっていただければ、きっとお気に入りの一杯が見つかるはずです
坂口—コロナ禍以前には、5000人という驚異的な集客があったと聞いていますので、もはや、京都を代表するイベントと言っても過言ではないと思います
安田—大人気のイベントなんですね! きっと、コーヒーの芳ばしい香りが会場に溢れているんでしょうね。わたしが、京都の町家カフェのオーナーになれる日が来たら、是非とも出展させてください(笑)
トラストデザインと一緒にコーヒーと『住まいと暮らし』の素敵な関係を考えてくださる牧野広志さんは、80年代からDJとしての活動を始め、クラブシーンの先駆者としても名を轟かせたカルチャーの申し子。90年代に渡仏し、パリやリヨンで暮らした後に学生時代から居を構える京都に『パーク・カフェ』をオープン。現在は、『トラベリングコーヒー』を運営しながら、ホテルやショップ、企業などのコーヒーを監修。また、圧倒的なコーヒーへの愛情と知識と情報を武器に、京都珈琲文化の語り部としても活動をされています。
トラストデザインと一緒にコーヒーと『住まいと暮らし』の素敵な関係を考えてくださる牧野広志さんは、80年代からDJとしての活動を始め、クラブシーンの先駆者としても名を轟かせたカルチャーの申し子。90年代に渡仏し、パリやリヨンで暮らした後に学生時代から居を構える京都に『パーク・カフェ』をオープン。現在は、『トラベリングコーヒー』を運営しながら、ホテルやショップ、企業などのコーヒーを監修。また、圧倒的なコーヒーへの愛情と知識と情報を武器に、京都珈琲文化の語り部としても活動をされています。
より本格的な一杯は専門店にて
坂口—この号では、コーヒーのある素敵なライフスタイルを住宅設計・デザイン・施工会社として提案したいと思っているんですが、近年、豆や抽出方法にこだわったコーヒーがコンビニエンスストアでも飲めるようになり、本格的な味や香りがより身近なものになったと感じています
牧野—仰る通りで、2010年代から大手のコンビニエンスストアが取り扱われ始めたカウンターコーヒーのおかげで、より美味しい一杯を求められるお客さまが増え、こちらの業界も売り上げは伸びているんですよ
安田—ライバルという位置付けではないんですね
牧野—淹れ立てのコーヒーの世界の間口を広げていただいた感覚ですね
パパとママの最短最速最良の趣味
坂口—コーヒーを体系的に研究されている牧野さんは、コンビニエンスストアの商品も随時、チェックされているんですか?
牧野—もちろん、専門店という目線からチェックはしていますし、なにより感服するのはあれを100円から提供できることです
安田—大きな企業じゃないと実現できない価格ですよね
牧野—言い換えれば、ご自宅に豆と道具さえ揃えてもらえれば、そんなにコストをかけずに本格的なコーヒー作りは始められるということです
坂口—わたしもそれは感じておりまして、誤解を恐れずに言えば、マイホームで完結する趣味としてはもっとも手軽に始められるものかと。あくまで、にわかと言いましょうかビギナーの話で、突き詰めれば深遠なる世界が待ち受けていることは、承知しております(笑)
ブラック信者の
モーニングルーティン
牧野—コーヒーショップの店主が言うのも恐縮ですが、そうだと思います(笑) 坂口さんは、日頃、コーヒーにはどのようにこだわられていますか?
坂口—自分で選んだ豆をオフィスに常備していまして、出勤したらスタッフが淹れてくれていますね
牧野—安田さんはいかがですか?
安田—この取材の朝からワクワクと言っちゃいましたが、わたしはコーヒーが飲み過ぎというくらいに、めっちゃ好きで(笑)、子供たちが起きる前に一杯、子供たちを送り出してから一杯と、朝からブラックを立て続けに飲んでいます。多めに淹れて水筒に詰めたりもしていますね
坂口—美沙子さんは朝からかなり飛ばしているんですね(笑) 好きが高じて、コーヒーをプロデュースもされているとも聞いていますよ
安田—バレちゃってましたか。『FOUR O FIVE』というライフスタイルグッズの販売サイトで、ディカフェを提案させていただいたり、コーヒーに関しては本気のスタンスですよ(笑)
京都だからこそ
素敵なカフェ空間を
牧野—ご存知かもしれませんが、京都はコーヒーの消費量が日本一なんです。また、新鮮な生豆や自家焙煎、ドリップの方式などにこだわった名店があちこちに点在し、京都出身のお二人は若い頃から知らず知らずの間に、京都のコーヒー文化に触れてこられたので、その瞬間瞬間に飲む一杯を大切にされているんだと思います
安田—煎茶や抹茶のイメージもありますが、コーヒーも日本一なんですね
坂口—どちらかといえば、にわかの部類に属すと思っていましたので、お褒めをいただき嬉しいです(笑) トラストデザインは『京都に建てる家』のブラッシュアップを信念としていますので、是非とも、コーヒーと素敵な関係を築ける京都の家のレイアウトを、牧野さんとの対談の中で見つけ出したいです
専用のコーナーでHOTひといき
安田—エキスパートのご自宅が気になるのですが、牧野さんは、どのようにコーヒーと付き合われていますか?
牧野—リビングの一角に机を置いて、そこに豆やグラインダーを備え付けています
坂口—プロ専用のコーナーがあるわけですね。具体的にイメージをしたいので差し支えなければお教えいただきたいのですが、リビングはどれくらいの大きさなんでしょう?
牧野—28畳くらいだと思います
坂口—もう、立派すぎます(笑) 新築やリフォームに関わらず、京都の場合は狭小地という条件をベースに考えたいので、牧野さんのスタイルの完全再現はちょっと難しそうです。しかしながら、キッチン、台所とは別の場所に、専用のコーナーがあるというのは憧れますね
安田—十代の頃から、カフェでコーヒーを飲むのが大好きなんですが、一体、カフェのなにに惹かれるのかを対談中に改めて、考えてみたんです
坂口—その答えは出ましたか?
安田—はい! 好きな要素が多すぎるので、あえてフワッと答えますが、雰囲気です
牧野—なるほど! 漠然としているようで、それが本質だと思います。コーヒーは味や香りも大切ですが、どのような空間や状況で飲むかで、確実に、味覚と嗅覚で感じるものが変わってきます。わたし自身も、日々、コーヒーを提供する中で意識していることなんですが、この『空間プラシーボ効果』は、住宅設計やデザインにも応用ができるかも知れませんね
絶景スポットをガラス越しに
坂口—そうですね。お店やスタッフさんの様子、内装やインテリアの感じなど、雰囲気を構成する要素はいくつもあるかと思いますが、マイホームでカフェのムードを醸し出すならば、まずは敷地の中で一番眺めのいい空間を確保することですかね
安田—そこを、コーヒーを淹れ、飲む場所にするということですね
坂口—窓から鴨川のせせらぎや嵐山の紅葉が、景色として入ってくるというのは、借景として贅沢すぎる話でしょうから、大きなガラス窓を張って、一番眺めのいい場所を新築やリフォームで作り込むというのも手だと思います
安田—内装の隅から隅までをカフェ風にというのは非現実的ですけども、ワンコーナーだけ作り込むというのはありですね。あと、一息つくための椅子は、絶対にお洒落なものを選びたいです
牧野—なにか、好みのスタイルはあるんですか?
安田—ほっこりとしたヴィジュアルが好きなので、北欧系の一脚ですね!
牧野—もう、五感のすべてでコーヒーを楽しんでいただくつもりですね(笑)
喧騒から逃れて時を止めよう!
坂口—最終的に建築パースに落とし込む画が徐々に見えてきたんですが、わたしはこの自宅の片隅にあるコーヒー空間を、高速道路などにあるサービスエリアのような感覚で捉えています。情緒的な表現になりますが、自分だけのペースとタイミングで休めると言いましょうか
安田—わかります。家族や社会が動き続けていても、自分だけが立ち止まりたい時ってありますよね
牧野—友人や仕事仲間と飲むコーヒーも美味しいですが、ひとりだけで飲むコーヒーもこれまた格別です。わたしは『コーヒーは不安を埋めてくれる』という表現をしばしば使うんですが、淹れている時も飲んでいる時も、なぜだか無心になれる瞬間があるんです。適量のコーヒーには、疲労回復効果やリラックス効果がありますから、坂口さんも安田さんも、休みたい、立ち止まりたい時に自然とコーヒーを手にされているのだと思います
カップを変えるだけで味が激変
坂口—ですので、今回、ヴィジュアル化するコーヒー空間には、あえて、誰と使う? 何人で使う? というミクロなコンセプトはもたせないでおこうと考えています。『コーヒーは最強のコミュニケーションツール』と牧野さんにおっしゃるように、コーヒーを片手に家族や友人や仕事仲間と過ごす時間も楽しいものですし、働き盛りのパパやママが、せわしない日常から解き放たれるわずかな時間も必要不可欠なもの。よって、『本格的なコーヒーが身近にあるライフスタイル』そのものを、トラストデザインはマクロにリコメンドさせていただきます
牧野—百貨店やショッピングモールにある専門店に行けば、世界各国の豆や本格的な道具を調達することができます。『家飲みコーヒー』は密かなブームにもなっていますので、ご自宅でも最高の味を楽しんでいただければと思います
安田—自宅でおいしくコーヒーをいただくコツはありますか?
牧野—豆や道具の話はキリがないので(笑) すぐにお試しいただけるものとして、口当たりの薄いカップをおすすめします。飲み比べれば、確実に酸味とキレを感じていただけると思います
坂口—本日は、コーヒーと京都との深い関わりや、コーヒーとの素敵な付き合い方をご教示いただき、ありがとうございました。牧野さんから得たアイデアを、『京都の家づくり』に反映していきますので、建築パースの仕上がりをしばしお待ちください
牧野—こちらこそ、コーヒー好きの京都人のお二人と貴重な時間を過ごせました。ありがとうございました
安田—最高に美味しいハンドドリップコーヒーまでご馳走になり、ありがとうございました。また、学校をリノベーションしたこちらに、子どもたちを連れて遊びに来たいです!
YLIY style from vol.10
トラストデザインが描いた
上質な喫茶エリア
『京都コーヒー界のキーパーソン』としてメディアにも引っ張りだこの、牧野さんが唱える『コーヒーは最強のコミュニケーションツール』という理論の通り、トラベリングコーヒーのオリジナルブレンドをいただきながら進めた、『コーヒー好きの、コーヒー好きによる、コーヒー好きのため』のバリュアブルな取材は、予定時間をオーバーする盛り上がりっぷり。深煎りと浅煎りを文化的側面から解説いただいたり、和製英語であるアメリカンコーヒーの本来の定義をご教示いただいたり、イリーマガジンのスタッフ一同のコーヒー偏差値は、珈琲文化の語り部のおかげでググッと上昇した次第です。さて、ここに完成したのは、賢人の話にじっくり&どっぷり『深入り』をした上で、コーヒーの消費量が日本一の京都の方のために描いた建築パース。実際の、『京都に家を建てたい』人たちと、その夢を叶えるトラストグループのご相談やお打ち合わせも、上にまとめたインタビューと同じように、徹底的に会話を重視して進められますので、マクロ視点(コンセプト)からミクロ視点(ディテール)まで、全体から部分までのすべての理想を、われわれに伝え倒していただきたく思います。
窓枠を額縁に見立てて
現代アーティストの鬼頭健吾さんにご登場をいただいたイリーマガジンの08号で、特に印象的だったのが『風景画は窓』というフレーズ。各分野のプロフェッショナルとの交流の中で、仕事力の向上を図る坂口が導き出したのは、敷地の中で一番眺めのいい空間を『絵』にすることでした。
採光を重視した家にも
マイホームの中の眺めのいい場所を、新築やリフォームで作り込むというアイデアの実現に必要不可欠なのが、ビッグサイズの窓です。こちらの、壁などに固定された開閉のできない窓は、建築業界では、はめ殺し窓やフィックス窓と呼ばれており、視界が広くデザイン性が高いのがメリット。
京都屈指のコーヒーショップの取材ということで、いつもよりテンション一割増でやってきた安田美沙子は、パールが上品に輝くモノトーンカラーの甘辛コーディネートで登場。これがコーヒーとミルクのコントラストを見事に表現したというのは編集部の邪推だが、自身が運営するサイトで深煎りのディカフェを販売するなど、コーヒーに対する愛情は芸能界随一。ちなみに、ディカフェとはカフェインを取り除いた飲食物を指し、とりわけコーヒーにおいては妊娠期や授乳期の方に好まれたりするそう。
安田美沙子
1982年4月21日生まれ。数々の女優やアイドルを輩出する、講談社主催のミスマガジンにてミスヤングマガジンを受賞後、芸能界で華々しく活躍。京都府出身のタレントとしても著名で、そのはんなりした語り口に魅せられるファンも多い。郷土愛も強く、幼馴染の経営する中京区の炭焼店でサプライズ店員をしていたところを目撃されたことも。
坂口祐司
1986年6月25日生まれ。土地や建築だけでなくお客様のライフスタイルやライフプランまでをトータルに考え、最良のサービスを提供するトラストグループの代表取締役。急成長を遂げる若き会社のトップは、本メディアでは京都で培った幅広い人脈を武器にゲストのブッキングに日夜奔走。四条河原町に住まいと暮らしのギャラリーをオープン。
今回の舞台
今回の舞台
トラベリングコーヒー
木屋町の中心にあった立誠小学校は1928年に竣工、1993年に廃校となったノスタルジックな建築物。コーヒースタンドというスタイルで営業をするトラベリングコーヒーは、府内の焙煎所から仕入れたスペシャルティコーヒーをハンドドリップで提供。目の前には、ここが京都の繁華街であることを忘れてしまうくらいに広大な庭が。
TEL.080-3853-2068
〒604-8023
京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310-2
- 衣装協力
- ririchuchu / Hai capito