声の届くいえ
ヒット業態を連発した
カリスマ経営者
ことわざや故事成語というものは、ときとしてあてにならないものなのかも知れません。二度あることはナントカと言ったり、三度目のナントカと言ったり、いったい三度目はどっちなの? と、突っ込みたくもなりますが、正反対に聞こえるこのふたつは、三度目の結果に言い及んでいるところが共通点。さて、なんの話やらとお思いでしょうが、これは天気の話。ここまで、雨、雨と続いたイリーマガジンの取材。ようやっと晴れが訪れ、清々しい日差しとともにご登場いただくのは、京都を代表する実業家の勝山昭さん。そして、本対談のエンディングでは、繰り広げられた会話をベースにイリーマガジン限定公開の建築パースを描き下ろし! みなさまに、飲食業界の猛者が考えた『理想の家』を披露しますので、最後までお付き合いを。
子育ての第一主義の家
坂口—我々、トラストデザインが発行するイリーマガジンの対談は今回で2号目となるんですが、これまでの取材日は、あいにくの天気が続いていたんです。本日は、大きなガラスの窓から注ぐ自然光の下でたっぷりお時間をいただき、『理想の家』をテーマにお話を伺います
勝山—こちらこそ、よろしくお願いします。この家は、妻の意見を取り入れながら開放的な空間で子育てがしたいと願って建てたんです
奥様—10歳と7歳のヤンチャ盛りの男の子がおりますので、わたしはいかに効率的に家事がこなせるかを考えました
安田—ご夫婦ともにお子さまファーストで試行錯誤をされたんですね。子育ての先輩として参考にさせていただきます
声で繋がる素敵なファミリー
坂口—ご夫婦揃って子育てをテーマにされていますが、こだわられたポイントはありますか?
奥様—いつでも『家族がどこにいるか分かる』という設計にしていただきました
安田—京都の閑静な住宅街に建つ邸宅ですが、お子さまの遊ぶ声は姿が見えなくても聞こえてきますね
勝山—そうなんです。『声が届く』ということを大切にしました。吹き抜けを設けていますんで、わざわざ階段を上がらなくても、物音でなんとなく子どもが2階にいることが分かるんです
坂口—目が届くという意味で、学習机も近くに置かれているんですね
奥様—はい。兄弟が庭でキャッチボールをしている様子も、キッチンから覗けるようになっていますよ
『京都に建てた家』に関してにこやかにお答えいただいている勝山さんですが、この方は、『包まぬ豚は、ただの豚。』のキャッチフレーズでお馴染みのサムギョプサル専門店『ベジテジや』の創業者にして、国内外に直営、フランチャイズを含めグループで120以上の店舗を展開した超凄腕の経営者。外食産業から勇退された現在も、その経営戦略、事業戦略には注目が集まり、講演やセミナーも積極的に行われています。
そんな、いま流行りの言葉でいうレベチな起業家の勝山さんとトラストデザインを主宰する株式会社ハイトラストの代表取締役、坂口との出会いは会社経営者が集ったゴルフコンペ。いまでは、京都出身の先輩後輩として、トレーニングやお風呂やサウナ、焼肉をご一緒するする間柄なんです。TV番組『ガイアの夜明け』や『がっちりマンデー!!』、経済誌など、勝山さんにはビジネス方面からの取材が殺到していますが、今回は仲のよい後輩が立ち上げたスペシャルコンテンツということで、経済とはほぼ無関係の本企画に特別に出演をいただきました(笑) また、歳の近い京都出身者同士ということで、なんとなんと、奥様の佳代子さんとフレンチリネンのワンピースで登場の安田は、奇遇にも同じ小学校出身という話題で盛り上がったり! しかも、大学生時代に佳代子さんがアルバイトをされていたカフェが安田のお気に入りのカフェだったり! あちこちシンクロしまくりの当日でした。
効率が生み出す贅沢な時間
勝山—わたしは当初は、温かい雰囲気と言いましょうか、こたつを置いて家族みんなでゴロゴロと寝そべるような暮らしをイメージしていたんです
坂口—すみません。ひとつも採用されていないような気が(笑)
勝山—ええ。あくまで家族との距離感のイメージですね
奥様—わたしに家族と共有できる時間が増えれば、夫の言うような距離感が叶えられるのかなと思い、とにかく『効率的な動き方ができる家』を考えました
勝山—設計やレイアウトによってテキパキと家事がこなせれば、きっと妻の負担も減るでしょうし
安田—2人の子どもをもつママ代表として、その効率というのはかなり興味深いです
ママの時間泥棒の正体は洗濯
奥様—仰々しいかも知れませんが、家事ってこの家で生涯、繰り返す動作そのものだと思うんです。前の家ではどうしても洗濯が効率的にこなせなかったので、その反省を教訓に、ランドリールームの位置を熟考し、そして、ファミリークローゼットを導入しました
安田—そう、洗濯っておおまかに言っても、洗ってから、干す、取り込む、畳むまで、作業が多くて時間がかかるんですよね
坂口—ファミリークローゼットはその名の通り、家族で使う大型収納ですが、ひとつの場所に衣類をまとめることで家事動線がシンプルになりますね
安田—片付けるところが一箇所に決まっていると、時短にも期待ができそうです
飲食のプロに訊く動線の極意
勝山—わたしも飲食事業を展開していたときは、一歩たりとも無駄にしない厨房の動線を考え抜き、自分の中でパーフェクトな設計を目指していたんです。これから『京都で家づくり』をされる方には、建築設計会社さんと相談される折、生活や家事に関わる動線にはとことんこだわっていただきたいなと思います
坂口—その上で、今回はランドリールームからテラスやバルコニーへのアクセスも重視して『理想の家』を描いていくとしましょう
奥様—そうですね。洗濯機のボタンを押してからクローゼットの引き出しを閉めるまでの、一連の作業がスムーズにこなせれば、主婦としてはとてもありがたいですよね
安田—キッチンは収納スペースがかなり充実していますよね
奥様—はい。パントリーはしっかりとっていただきたいと、建築設計会社さんにお願いしました
安田—キッチンのたっぷり収納はめっちゃ羨ましいです
奥様—キッチンには、わたしのためだけのカウンターがあって、パソコンを触ったり、ちょっとした書き物をしたり、ときには化粧も(笑) オープン型なので、ここからリビングにいる家族ともコミュニケーションが図れます
安田—ママってキッチンにいる時間が圧倒的に多いので、そこにワークスペースがあるのは憧れます
タイルの白魔術でさらに広々
坂口—奥様は邸宅の各所を、家族への想い、とりわけお子さまへの想いをもってカタチにされていますが、デザイン面など、個人の趣味趣向として望まれたことはありますか?
奥様—昔、イギリスに暮らしていた時期がありまして、そのときの思い出の部屋の壁紙の色をアクセントカラーとして使い、それに合わせて、インテリア小物や雑貨をクラシックな英国調のデザインから選んで楽しんでいます。また、リビングとテラスの床の色をホワイトで統一して、明るく開放的な雰囲気に仕上げていただきました
安田—動き方プラス見せ方にも妥協されることなく、理想を叶えられたということですね
坂口—同じく、勝山さんの趣味趣向はどのように反映されたんですか?
勝山—子育てが第一条件ですが、わたしがパパとしてではなく男として手に入れたかったのは、実はガレージハウスなんですよ
坂口—ビルトインガレージ、インナーガレージとも呼ばれる、家の内部にガレージが組み込まれているスタイルですが、こちらの邸宅には、男の浪漫が凝縮された欧州のスーパーカーがショールームのように並んでおり、もう圧巻です
勝山—いえいえ。車種や台数はさておき、玄関を通らずにガレージから家にダイレクトで入れるというのは利点です。ガレージのシャッターキーさえあれば、気軽に出かけることができますからね
二階建てでは収まらぬ夢
坂口—『あなたのライフスタイルに合わせた理想の暮らしを叶えるお家』をコンセプトにお送りしているイリーマガジンでは、京都にゆかりの深いゲストの方と『理想の家』を考えるわけですが、勝山さんのご提案を伺うに、どうやら、二階建てでは収まらなさそうです(笑)
安田—みんなで考える『理想の家』はだいたい30坪をを想定していますが、すべてのキーワードを取り入れながら、現実的に建築パースに落とし込む策はありますか?
坂口—はい。三階建てをイメージしておりまして、一階に掘り込み式の車庫を用意、二階から上を家族のスペースとして、今回はパースを作成しようと思います
珠玉のアイデアIN建築パース
坂口—今回は、おふたりから京都に家を建て終えた経験を基に『子育てに重きを置いた暮らし』をお聞きしましたが、これから家を建てたいという願望を抱かれる読者の方に、先人からのアドバイスはございますか?
勝山—できるならば、男性にはプライベート空間を確保していただきたいですね。趣味や遊びに没頭できる場所は仕事へのモチベーションを確実に高めてくれます
奥様—わたしは、ママの秘密基地ではないですが、キッチンをどの部屋よりも居心地のよい場所にしていただきたいです
安田—ママがキッチンを拠点に仕切るのって、わたしが目指す家族のカタチでもあります
坂口—実際にこの家、建ててみたくなってきましたよ
安田—ウェブマガジンから飛び出すコラボレーションハウスってめっちゃ豪華です
坂口—本日は、貴重なお話を聞かせてくださり、誠にありがとうございました。それでは、この対談を題材にしたオリジナルの建築パースを作成していくとしましょう
YLIY style from vol.02
トラストデザインだからつくれる理想+αなこんな家
『京都に家を建てたい』人たちと、その夢を叶えるトラストグループとのご相談やお打ち合わせも、上にまとめたインタビューと同じように、徹底的に会話を重視して進められます。お客様の希望や要望をゆっくりとじっくりと伺いつつ、要所要所で的確なアドバイスとご提案。何気ない雑談の中にも、我々、トラストグループは『家づくり』のヒントを探します。そのすべての情報を集約した上でご覧いただくのがこのようなパース。建築物を立体的にヴィジュアル化することで、『京都に立てる家』の完成の状態を把握いただきます。今回、独創的な経営戦略と事業戦略を武器にヒット業態を量産された勝山さんと、ママ&心理カウンセラーの二刀流をこなされる佳代子さんから頂戴したお題は『子育て』と『動線』。ご覧のように、一階のビルトインガレージには浪漫が詰まりまくりのスーパーカーが鎮座しておりますが、二階、三階のファミリースペースには、ちゃっかりとキーワードを網羅するトラストグループのアイデアが満載! 早速、パースで具現化された各部屋を案内いたしましょう。
成功者曰く、
活力を養う場所は不可欠
ガレージを含め、一階はパパの私的空間とドラスティックに割り切ることができれば、なんとも贅沢な書斎を構えることだって可能。
これぞワンストップの秘密基地
書き物から化粧までを一箇所で合理的に行えるように、キッチンにはママ専用のワークスペースを。
家族のクローゼットも完備
脱ぐ、洗う、干す、片付ける、着替えるという、生活&家事動線を計算し尽くしたランドリールーム。
声が届くの真髄は吹き抜けにあり
丸テーブルを備えたLDKとバルコニーの床を同色のタイルで仕上げ、大きな窓を開放すれば一体型のスペースとして使用できる二階。
冒頭に述べたことわざの続きを。どうやら、二度あることはナントカと三度目のナントカの三度目の結果が出る確率を、ヘイズの定理を用いて数学的推論から割り出した方がいるようで、その確率は前者が圧倒的に高いんだとか。レベチが過ぎる起業家の勝山さんに、いまさら確率論をピックアップするのは、甚だナンセンスで申し訳ないのですが、やはり、会社経営においても事業の成功を体験されている方は、次の事業、その次の事業の成功をイメージしやすいそう。ただ、ビジネスの『勝ちグセ』というものは、桁違いの努力の賜物であり、計り知れない苦労の結晶であり、または、ありふれた数字からは絶対に導き出せない、神から与えられたギフトなのではなかろうかと、手前、浅学菲才ながらに思ったり……。是非とも、コロナ禍が落ち着いたときには、『挑戦こそ未来』を信条とされる氏の講演に足を運び、成功体験に裏打ちされたビジネス論を拝聴したいものです。
安田美沙子
1982年4月21日生まれ。数々の女優やアイドルを輩出する、講談社主催のミスマガジンにてミスヤングマガジンを受賞後、芸能界で華々しく活躍。京都府出身のタレントとしても著名で、そのはんなりした語り口に魅せられるファンも多い。郷土愛も強く、幼馴染の経営する中京区の炭焼店でサプライズ店員をしていたところを目撃されたことも。
坂口祐司
1986年6月25日生まれ。土地や建築だけでなくお客様のライフスタイルやライフプランまでをトータルに考え、最良のサービスを提供するトラストグループの代表取締役。急成長を遂げる若き会社のトップは、本メディアでは京都で培った幅広い人脈を武器にゲストのブッキングに日夜奔走。四条河原町に住まいと暮らしのギャラリーをオープン。
今回の舞台
今回の舞台
勝山邸
今回の舞台である『家族の声が聞こえる家』は、ホワイトを基調としたシンプル&クリーンな内装。リゾートホテルを想起させるラグジュアリーなテラスから、元気に庭で遊ぶお子さまを見守るのが勝山さんの至福のひととき。そこに淹れたてのコーヒーがあれば、もう120点! 余談ですが、勝山さんはアートにも造詣が深く、ビルトインタイプのガレージに繋がる壁面を利用して、ギャラリースペースにされています。
- 衣装協力
- ririchuchu ELVIO ZANON